当医院では予防歯科に力を入れています。今や人生100歳の時代に入ってきたので、年齢に関係なく、いつでもよく噛める事がとても大切な時代になりました。良く何でも噛めるのは健康の基本ですからこれは大事です。その為に口の中の細菌を日常綺麗にしておくことを見直すべきでしょう。虫歯や歯周病の予防をして歯を長持ちさせる為です。
ところが近年、口の中の細菌を綺麗にすることは歯の為だけでは無い事が分かり始めました。体の内部への入り口である口の中にある細菌は全身に散らばり、今までは考えられないような「全身の病気への影響」に大きくかかわっていたのです。口の中には無数の細菌がいつも繁殖しています。これを放置すると歯の病気になるのでブラッシング等が必要ですが、実はそれだけでなく、口腔内の細菌が全身の病気に関連している研究がこのところ盛んになって来ました。口の中の菌やその毒素が全身に広がり、全身の疾患を引き起こし、或いは既にかかっている疾患を重症化させる事が次々に明らかになってきました。今の高齢化社会の中で最も大切なのは、出来るだけ長く健康でいる事です。病気や怪我等の危険が人生にはありますが、病気を考えると日頃の予防は幾らでも出来る所が有ります。そういった事を放置しないで、軽く見ないで、人任せにしないで、自分の重要な課題として正面から取り組んで頂きたいと思っています。
今までこのブログでは、健康法の基本中の基本は「呼吸法」と「正しい姿勢」と食事中は「何回も良く噛む事」であると、日頃の私の生活の中で確信している内容を指摘しました。またそのうえで、歯科に関係ある「口腔内細菌」が「誤嚥性肺炎」や「糖尿病」、或いは「骨粗しょう症」、「肥満」などに大きく関係する事もお話ししました。
それで引き続き、今回は歯科領域の細菌が「脳梗塞」にも関係して危険である事についてお話しします。
歯周病に罹患している人は、口腔内が綺麗な人に比べて、脳梗塞の発現率が2、8倍になる事が報告されています。
殊に歯周病が重度になると、脳卒中の危険因子も更に強くなる事が指摘されています。
歯周病菌やその産生する毒素は体中の血管内面に異物を付着させ、スムースな血流を阻害します。すると酸素や栄養素を運ぶ血液の量が少なくなり、或いは止まってしまい、その支配領域に大きなダメージを与えます。これが脳血管に起これば脳梗塞や脳出血を招き、話せない、歩けない等の重大な事態に繋がります。
脳梗塞の原因には食事内容その他いろいろありますが、歯周病もかかわっています。その関わり方は歯周病菌が直接影響を与える場合と、腸内細菌のバランスを崩してその結果間接的に全身疾患のリスクになる事も指摘されています。このような研究はまだ始まってから日が浅いので、今後新たな知見が次々に発見されると思われます。
体は全て隅から隅までつながっているので、口の中の問題はここだけに止まらずに全身と繋がってお互いに大きな影響を与え合っています。ですから全身の病気のリスク因子を出来るだけ取り除く意味でも早いうちに歯周病等の歯科の検査・治療を受けると宜しいのではないかと思われます。
歯周病で歯を多く無くなした人は脳卒中になり易いようです。
成城学園前 予防歯科 鈴木歯科医院